更新日:2024年10月23日 | Rinko
家庭用蓄電池を選ぶ際、放電の仕組みや蓄電ロス、充放電ロスについて知っていますか?これらの要素は、蓄電池の性能やコスト効果を大きく左右します。
この記事では、これらのトピックについてわかりやすく解説し、家庭用蓄電池の選び方の参考にしていただくための情報を提供します。
蓄電池を購入しようとしているけど、違いがわからない。営業マンから「お得ですよ!」と言われているけど、何か盲点があるのではないかと不安になる。そんな方へ、蓄電池の放電について、知っておいてください。
家庭用蓄電池の基本:充電と放電のしくみ
家庭用蓄電池を使っているけれど、その仕組みや特徴をよく知らない方も多いのではないでしょうか。このセクションでは、蓄電池の基本的な充電と放電のしくみを、わかりやすく解説します。
どんな家庭用蓄電池も共通の基本的なしくみ
蓄電池は、電気を保存しておき、必要なときに使うための装置です。その基本的なしくみは、どの蓄電池も共通しています。
電気を充電するときは、電気を蓄え、放電するときは、その蓄えた電気を放出します。しかし、全ての蓄電池が100%の効率で電気を蓄えるわけではありません。実際には、充電と放電の過程で少しの電気がロスすることが知られています。
- 蓄電池の内部は、電極板・電解液・セパレータでできています。
- 放電は、電極板と電解液の反応から始まります。
- イオン化分子がセパレータを通って移動し、電流が流れる。
- 蓄電池は電力を加えることで、反応を逆にして充電ができます。
- 充電時、正極の電極板から物資が電解液に溶け出し、再び放電前の状態に戻る。
蓄電池は化学反応を利用して繰り返し充放電ができる、再利用可能なエネルギーの仕組みを持っています。まずはざっくりと蓄電池の仕組みを理解しておきましょう。なぜ電気が保管できるのか?どのような原理なのかを知ることで、より深く放電について理解することができます。
さまざまな家庭用蓄電池の充放電の特徴
蓄電池にはさまざまな種類があり、それぞれに特有の充放電の特徴があります。例えば、リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度を持ち、充電の速さも特徴的です。一方、鉛蓄電池は、大容量で長寿命なのが特徴です。これらの特徴を理解することで、自分の家庭や用途に合った蓄電池を選ぶ手助けとなります。
蓄電池の放電は、電気エネルギーを化学エネルギーから取り出す過程です。各蓄電池の種類によって放電の仕組みや特性が異なります。
- ニッケル水素蓄電池:水素吸蔵合金に蓄えられた水素が放電時にニッケルと反応し、電気エネルギーを生成します。
- リチウムイオン蓄電池:放電時、リチウムイオンが電解液を介して移動し、電気エネルギーが取り出されます。
- 鉛蓄電池:放電時、鉛と硫酸が反応して電気エネルギーが生じます。
- NAS電池:ナトリウムと硫黄が反応し、高いエネルギー密度を持つ電気エネルギーを放出します。
放電の仕組みを理解することで、蓄電池の性能や持続時間を最大限に活用することができます。まずはこの4種類が存在していることを理解しておきましょう。ただし、数年おきに新しい原理の充電池が増えていきます。家庭用蓄電池として利用できるかはさておき、原理を理解することで、より効率が良い蓄電池が出た時に、利用するか決めることができるようになります。
家庭用蓄電池の蓄電ロスとは?
蓄電池を使うとき、気をつけたいのが「蓄電ロス」です。このロスは、蓄電池の充放電の際に発生する電気のロスのことを指します。以前は、使わない電気はすぐに売ることができましたが、蓄電池を使うと、すべての電気を売ることはできません。なぜなら、充放電の過程で少しの電気がロスしてしまうからです。
- 蓄電池の充放電には「電気のロス」がある
- 使わない電気をすぐに売ることは難しい
- ロスは自家消費量増加分の約10%
- 自家消費率が30%から70%に増えると、ロスは4%なる
- 蓄電池がない場合:自家消費率30%、売電率70%、ロス0%
- 蓄電池がある場合:自家消費率70%、売電率26%、ロス4%
蓄電池を使うと、電気のロスが発生するので、売電量が少し減ってしまいます。銀行へお金を預けて取り出す時に手数料がかかると思います。蓄電池も同じように保管したり取り出したりする時に、放電ロスが起こり、残量が減ると言う現象が起こり、結果的に手数料のようなものを支払わないと取り出せないということになります。
蓄電池を通過して売電などをこなう場合は、4%程度減ってしまうことを覚えておきましょう。たった4%と思われるかもしれませんが、お金を捨てているのと変わらないので、売電などで収支を考えている方は、この点をしっかり押さえておく必要があります。
家庭用蓄電池の種類とその特徴
家庭用蓄電池を選ぶ際、その種類や特徴を知ることは非常に重要です。このセクションでは、主な蓄電池の種類とそれぞれの特徴を詳しく解説します。
コンパクトで大容量「リチウムイオン電池」
リチウムイオン電池は、現代の電子機器に広く使用されています。その最大の特徴は、小さなサイズで大きなエネルギーを蓄えることができる点です。この特性は、スマートフォンやノートパソコンなどの携帯機器に最適です。しかし、充電回数が増えると性能が低下する傾向があります。
リチウムイオン電池は、効率的な放電能力を持つため、さまざまなデバイスでの使用が増えています。この放電能力は、電池の構造と材料に起因しています。
- 放電の特徴:小型でも高い電圧を持ち、効率的に放電できる。
- 用途:家庭用蓄電池、ノートパソコン、携帯電話など、放電性能が求められる機器。
- 正極の材料:リチウムを含む金属酸化物(コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムなど)。
- 負極の材料:グラファイト。
- 電解液:リチウム塩を溶かした有機電解液、効率的なイオンの移動をサポート。
リチウムイオン電池の放電性能は、その特有の材料と構造により、多くのデバイスでの長時間使用を可能にしています。おそらく最もメジャーでよく知られている電池ではないでしょうか?小型なので場所を取りにくく、放電も効率が良いので、多くの方に利用されています。
車に使われる頼りになる「鉛蓄電池」
鉛蓄電池は、自動車のスターターバッテリーとして広く知られています。大容量で、長寿命が特徴です。また、繰り返しの充放電にも強いので、家庭用の蓄電池としても利用されています。
- 用途:自動車、フォークリフト、電動車いすのバッテリーや非常照明、非常用電源など。
- 電解液:希硫酸を使用。放電時に硫酸鉛が発生することが特徴。
- サルフェーション:放電の際、負極の金属に硫酸鉛の結晶が付く現象。これが原因で充電容量が減少し、充電スピードも遅くなる。
- ベント形鉛蓄電池:放電時に電解液の水分が減少するため、精製水の補充が時々必要。
- 制御弁式鉛蓄電池:放電時に化学反応で水分が減少しないため、精製水の補充は不要。
鉛蓄電池の放電時の特性や現象を理解することで、適切なメンテナンスや寿命を延ばす方法を選ぶことができます。放電の特性を考慮して、最適な鉛蓄電池を選びましょう。また、設置場所によっては劣化が早くなることもあるので注意する必要があります。
地球にやさしい「ニッケル水素電池」
ニッケル水素電池は、環境に優しいという特徴があります。有害な物質を含まないため、廃棄時の環境負荷が低いです。性能や寿命はリチウムイオン電池に劣るものの、環境を考慮する場合には良い選択となります。
ニッケル水素電池は、さまざまな機器での放電性能が求められる中、環境にも優しい特性を持つ電池として注目されています。
- 放電の特性:乾電池との互換性が高く、多くの機器で安定した放電が期待できる。
- 環境への優しさ:放電時に有害なカドミウムを放出しないため、環境に優しい。
- 正極の材料:放電時に活躍する水酸化ニッケル。
- 負極の材料:水素吸蔵合金。放電時には水素の放出と吸収を繰り返す。
- 電解液:水酸化カリウムのアルカリ水溶液。放電の際のイオンの移動をサポートする。
ニッケル水素電池は、安定した放電性能と環境への優しさを兼ね備えた電池として、家庭用蓄電池の選択肢としておすすめです。現在、SDGsが叫ばれる中、多くの人が持続可能な社会を作ろうとしています。その中でニッケル水素電池を選択する方が増えています。
日本が誇る特別な電池「NAS電池」
NAS電池は、日本独自の技術で開発された蓄電池です。高温での運転が可能で、大容量の電力を長時間蓄えることができるのが特徴です。大型の太陽光発電システムなど、大量の電力を必要とする場面での利用が期待されています。
- エネルギー密度:NAS電池は高いエネルギー密度を持つため、長時間の放電が可能。
- 正極と負極:放電時、正極の硫黄と負極のナトリウムが反応します。
- 温度管理:300度の高温での動作が放電の効率を高める。この温度を自動で維持する仕組みがある。
- 安定した放電:外部からの加熱は不要で、安定した放電が期待できる。
- 使用場所:その放電能力を活かし、太陽光や風力発電所などでの利用が増えている。
NAS電池は、持続的な放電能力と高いエネルギー密度を持つことから、家庭用蓄電池としての利用に適しています。現在は1社のみしか取り扱いがなく、高額になる傾向がある電池の一つです。高温の環境に設置したいと考えるのであれば、この選択肢もあるかもしれません。
まとめ:家庭用蓄電池の放電って何?
蓄電池の放電とは、簡単に言うと、蓄えられた電気を使用することを指します。
放電は、電気が発生する現象を指します。例えば、雷や静電気も放電の一例です。電池を使って家電製品を動かすのも、この放電のおかげです。電池の中では、プラス極とマイナス極の間で電流が流れ、これにより電気が発生します。しかし、電池は使っていなくても、時間が経つと電力が少しずつ減っていきます。これは、電池の中で化学変化が起こっているからです。
基礎理解
- 電池はプラス極とマイナス極の間で電流が流れることで放電します。
- マイナス極の金属は電解液に溶けやすく、これが放電を助けます。
- 電池は使っていなくても、時間が経つと電力が減少します。
- この電力の減少を「自己放電」と呼びます。
- 最近の技術では、自己放電を減少させることができます。
- 一次電池や二次電池の中でも、リチウム乾電池やリチウムイオン電池は、長持ちする技術が進んでいます。
家庭用蓄電池を使用する際、放電の仕組みを理解することは非常に大切です。放電は、蓄電池が充電された電気を放出し、家庭の電気機器などに電力を供給するプロセスです。しかし、放電の際には、電気のロスが発生することもあります。このロスは、蓄電池の種類や使用状況によって異なります。
例えば、リチウムイオン電池は高いエネルギー密度を持つため、放電時のロスが少ないとされています。一方、鉛蓄電池は大容量であるため、放電時のロスがやや大きいことが知られています。
蓄電池の放電に関する知識を持つことで、電気の使用をより効率的に行うことができます。家庭での電気の使用を最適化するためには、放電の仕組みを理解し、適切な蓄電池を選択することが鍵となります。
蓄電池から放電する時にロスが起こります。このロスがたとえ4%だったとしても、馬鹿にできるものではありません。高性能な蓄電池、最新、他にはない、電気代がこんなにお得!と入って営業文句を鵜呑みにして、この数%の違いに気づけず、毎月赤字となり、総合的に数十万の損が出る、ということは常に起こっています。
あなたに降りかからないとは限りませんので、放電を理解することは、蓄電池を理解することにつながりますので、しっかりと覚えておきましょう。
私は、家庭用蓄電池の選び方の専門家として、数社に渡るメーカーの営業担当としての合計で8年以上の経験を持ちます。太陽光パネルの容量や停電時の生活スタイルは蓄電池の選び方に大きく影響します。長ければ15年以上も使用可能性がある蓄電池です。いざという時に役に立たない!ということがないようにバランスよく蓄電池を選び、日常生活と非常時の両方で安心して生活するためのアドバイスを提供します。将来のライフスタイルやコストも考慮に入れ、真の意味での最適な選択をサポートします。